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戦火を逃れて

ウクライナの難民危機は前例のないペースで拡大している

2月24日のロシアによる侵攻開始以来、ウクライナを逃れた避難民は500万人近くに達する。 1人1人に、それぞれの人生と希望、家族の物語がある。

国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)によると、ロシア軍が2月24日に侵攻して以来、ウクライナを離れた避難民の数は4月20日の時点で500万人を越えた。

2月24日、ウクライナの人々は、ロシアが陸・海・空にわたる全面的な侵攻を開始したというニュースで目を覚ました。多くのウクライナ人は、それまでロシアによる侵攻が現実に起きる可能性はないと考えていたが、自分たちや家族が出国する方法を必死に探し始めた。

侵攻開始から3日後には、50万人以上がウクライナから近隣諸国に逃れた

戦闘開始からわずか2週間後の3月8日の時点では、女性と子どもを中心とする200万人以上が、バスや鉄道、徒歩でウクライナから脱出した。UNHCRの代表は、難民の数はいったん急増した後、資産や人脈のない、より立場の弱い人々による第2波が生じる可能性があると話している。

3月15日までに300万人以上がウクライナを離れたが、出国希望者全員が避難できたわけではない。包囲された都市に閉じ込められた人々のための「人道回廊」設定の試みはたびたび失敗。ウクライナは、マリウポリに物資を輸送しようとした輸送車列を妨害したとしてロシアを非難した。赤十字によれば、マリウポリでは食料や水が尽き、絶望した市民らが「息もつけずにいる」という。

ウクライナ難民の数

508万
5360人

国内人口の4分の1が国外脱出、あるいは住む場所を失った。

UNHCRの推計では、国外脱出組の他に710万人が国内で避難した。

「ウクライナの人々にとって悲劇的な数の難民が、(開戦から)1カ月も経たないうちに生じてしまった。総人口のほぼ4分の1が難民化している。これだけのペースと規模で流や避難が進行する事態は、近年では前例がない」。UNHCRで広報を担当するマシュー・ソルトマーシュ氏はこう語る

避難した人(単位:1万人)
元の住居にとどまっている人(単位:1万人)
1マスで1万人のウクライナ人を表している。マス目全体の29%が難民・国内避難民として表示されている。
ウクライナの総人口

総人口の29%が避難した。

出典

難民の合計数は、国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)と、近隣諸国の国境管理当局を含むさまざまな情報源に基づく。日付ごとの数値は、入手可能な信頼すべきデータに基づく推計値である。データは2022年3月29日現在のもの。

人口統計は、ウクライナ国勢調査、米国国勢調査、ニュージーランド統計局、スペイン国立統計局、フランス国立統計経済研究所、シンガポール統計省によるもの。難民人口の統計は、UNHCRおよびジョージア政府人道問題調整官によるもの。

翻訳

エァクレーレン

日本語版制作

照井裕子

編集

Julia Wolfe、Grant McCool、山口香子